“Sky is not the limit. The universe is the limit.”
カナダの服飾学校時代の同級生、アンソニーはそれが口癖だった。
直訳すると「空は限界ではない。宇宙が限界だ」というところだが、語感としては「俺たちには限界なんてない」と考えてもらえたらと思う。卒業制作で多忙を極めた際にもアンソニーが繰り返していたあの言葉は、当時の苦労の記憶と共にいつも僕の頭の片隅にある。
コレクションのデザインに向き合う度、僕はイマジネーションがカラカラになるまで、全てを出し尽くす。そのあとにはインプットの時間が必要だ。このコレクションをデザインするにあたり、僕はL.A.を一週間旅した。レッド・ロック・キャニオンで見た夕暮れは、ピンクとブルーの綿あめのようだった。それが徐々に暗くなり、突如、僕の頭上にこれまで見た流れ星とは全くスケールの異なる巨大な光線が走った。気づけば天の川が大きな虹のように広がっていた。
都市のざわめきを遥か遠くに置き去りにし、荒野は全く音のない空間だった。満点の星空を見ながら歩く岩場は、自分が地球ではなくどこか別の惑星にいるかのような錯覚を僕に与えてくれた。時間が止まったような感覚の中、僕はひたすら銀河を眺めていた。音がない世界は宇宙の神秘を僕に意識させたが、その広がりを想像すると胸の奥で寂しさの感情がかすかに疼いた。——“The universe is the limit.”——レッド・ロック・キャニオンでは“限界”が手に届きそうな距離にあったのだ。
近い未来、人類は宇宙で暮らすかもしれない。その時はどんな洋服を着て、どんな音楽を聴いているのだろうか?そんな着想からデザインした今回のコレクション。ギャラクシーを旅する気分でご覧ください。HAVE A GOOD TRIP.
glamb Head Designer
TK