2015年4月29日水曜日

Varde77 '15 A/W “OLD MAN” デザナーインタビュー

4月30日(木)20時予約〆切


Q1.ここ最近のコレクションでは、テーマを設けずデザイナー自身が作りたいモノを表現されていたと思いますが今回、久々のテーマのあるコレクションとなりどんな思いで製作されたのでしょうか?

2008年より2012年まではシーズンテーマを設けていて、
それに飽きたというかもっとフラットに作りたい物を作ろうと2012年~2014年はテーマを設けずに
コレクションを展開していました。
また2年経つと心境の変化もあり再びテーマを設けてやってみたいという気持ちになったんです。
ただテーマの作り方に関しては、今までと少し違って、
自分のかなりプライベートな部分を映し出すようなテーマがいいと思った。
2015年は色んな環境や心境の変化がありました。
自分のやりたい事もやりたいし、孤独を感じていたので表現に変えたいとも思いました。
そういったいろんな感情をひっくるめて思いついたテーマが「OLD MAN」
1人でメッセージを訴えかけるシンガーソングライター。

実は中学生のころからシンガーソングライターになるのが夢でした。
でも、音楽のセンスがないと自分で決断して飽きめた夢。
コレクションの発表という別の場で自分の夢を叶えてみてもいいのかなと。
店をオープンした頃からお店で流していたニールヤングの「OLD MAN」という歌が今の僕の
心情にはぴったりだったので、
大好きなニールヤングをヒントに僕のイメージするシンガーソングライターを作れたら面白いだろうな
という気持ちで今回のテーマ制作に至りました。


Q2.テーマである”OLD MAN”どんな意味・思いが乗せられているのでしょうか?

上記の回答と重複しますが、
70年代のアメリカのヒッピー的な要素と、孤独と理想みたいなものを掛け合わせて、
洋服作りやコーディネートで表現しているつもりです。


Q3.近年、シンプルなファッションが多い中、Varde77のコレクションではオリジナルテキスタイルの柄がとても目につきます。
製作に至って、時間も手間もかかると思います。そこまで追求する拘りの意味をぜひ聞かせて下さい。

僕はオリジナルのテキスタイルを作る事が必ずしも拘りではないと思っています。
オリジナルでなくても良い生地もたくさんあると思っているので。
オリジナルの生地でなくても、自分の足をつかって探す事がバイヤーみたいで楽しいという気持ちも持っています。
だからオリジナルに拘るわけではないのですが、作りたい物がないときは作るってことをしているだけです。
シンプルなファッションが主流になっているからこそ、自分はそうじゃものたりない。
自分の中では今回はオリジナルのテキスタイルが増えてしまったのは、なにかに対する反骨心みたいなものかもしれません。
だから今回はそういった気分がコレクションに反映されてオリジナルのテキスタイルが増えたんでしょうね。
でも苦労した甲斐あって、とてもいいものになっていると思います。
値段的に高いものもありますが、値段以上のクオリティになっていると自負しております。笑


Q4.2015AWでもコレクションラインから”革ジャン”がリリースともありファンの方は凄く楽しみにされていると思います。
”一生モノの革ジャン”をぜひ選んで頂きたいと思い、次のレザージャケットに関して、製作から完成までの苦労や製作の秘話などがありましらぜひ教えて下さい。

革ジャンは実はいつもコレクションのアイテム構成を考える場合、1番先に考えます。
1番先というか、実は2シーズン先ぐらいまで予定を立てていたりもします。
でも作り出して少し気分が変わったりする事もあるので、ざっくりとした方向性しか決めていません。

2009年秋冬にリリースしたダメージリブレザーノーカラージャケットというアイテムが自分が一番着用頻度が多いアイテムでした。
そのアイテムは製品染めという行程で制作したので、付属の色を統一する必要がありました。
そのアイテムを自分でよく着ていて、今の心境はファスナーやステッチが配色になっていたらいいのにとか、
もう少し大きいサイズ感だったらいいのにと思っていたので、
それをかたちにした感じです。

革ジャンの醍醐味は自分なりの歴史が刻まれる事だと思っているので、
今回は革を2重に染めて、着用を繰り返して行くうちに下のベースの色が出てくるように制作してあります。
こういった作り方を実は2010年にもやった事があります。
それは一番最後に自分たちで製品染めをしたのですが、今回は革の段階からやってみようと取り組みました。
自分の中で今までやっていなかった、新しい事をやっていく姿勢でありたいという気持ちも強いからかもしれません。
革を柔らかくする為の工夫なんかも実はしています。
ノーカラーのデザインはコーディネートの幅が広くて、
着ていて楽しい。
なによりもバルデはレザージャケットというイメージが強いブランドなので、
パターンは色々工夫しています。
ポケットの中にも拘りをいれて、裏地との中にもゴムを入れて機能性をだしていたり、
古着の雰囲気が出るように少しだけ直線でないような線の引き方もしています。
毎年なんですが、パターンはパターンナーと試行錯誤しながら、時間をかけて制作しています。


Q5.コレクションライン、R90PPともに見た目はシンプルですが独特な素材や加工されたパンツアイテムが多いと思います。
春夏コレクションでも、独特なシルエットのチノパンや刺子という日本古来の生地を使用したパンツなどがありましたね。
2015AW両ライン含めて、何本かピックして頂きそのパンツアイテムへの拘りをぜひ教えて下さい。

「ピックして頂き」ってのが一番苦手です。笑
1人でデザインしている以上、全部気に入っているんですよ。笑

パンツは主張しすぎないようにするというのが、僕の中では決めごとみたいになっています。
主張する物はトップスであくまでもパンツは脇役のような感じなので、
あまりデザインをしすぎないように気をつけています。

スエットパンツなんかは尋常じゃないようなストレッチ具合がポイントなので、
デザインは特にしていません!笑
シルエット(パターン)と素材で十分なんです。

インディゴコーデュロイのダメージなんかも、
デニムでやっていたことをコーデュロイにするだけでも新鮮にうつる。
僕はコーデュロイが大好きなので、コーデュロイでインディゴなら味も出るし、
嬉しいなという単純な発想からです。
だからパターンもダメージの入れ方も、以前デニムでリリースしたアイテムと
同様のものを使っています。
でもそれは引き算のデザインという意味で必要なことだと思っています。

あとデニムの517は今までテーパードばかりをリリースしていしていたので、
反動という感じでしょうか。
70年代が隠れテーマでもあったので、ブーツカットは欲しかった。
良い意味で少しださい物を取り入れて、他と違う事をやっていくという気持ちを出しています。
僕の中ではブーツカットは永遠です。笑
最近はブーツカットのデニムよく履いています。

50'テキスタイルのパンツは価格は少し高いパンツなんですが、
なによりもテキスタイルが最高なので、僕は3本ぐらい欲しいと思っています。笑


Q6.2006年からブランドをスタートし、今季で9年目を迎えるVarde77ですが
今現在の気持ちやライフスタイル、そしてお店の変化などはどのように思っていますか?

2006年にブランドはスタートしたわけですが、良い意味であまり気持ちは変わっていません。
相変わらず、洋服のザザインは1人でやっているということもあるのかもしれません。

店に関しては、直営店舗も増えてスタッフがいるので、
スタッフの育成を行って、自分の発想にないことも店ではやっていってほしいと思っています。
人を育てるという事が好きなのかもしれませんね。

立ち上げ当初から、
Varde77の洋服を着てくれる事で、
着てくれた人の人生が少しでもよくなるように
お手伝いが出来ればと思って取り組んでいます。

外見の90%をしめている洋服は、
その人の人生を大きく変えると思っています。
前向きになったり後ろ向きになったりする気持ちも、
洋服からコントロール出来たりもします。

でもその人が出来上がってしまえば、洋服はいらなくなりますね。笑

たとえば僕はお笑いの松本人志さんが好きなんですが、
松本人志さんになってしまえば、なにを着ててもかっこいい。笑
汚い白いTシャツでもかっこいいんです。
というかファッションがださいとかかっこいいという次元を越えていると思っています。笑

でもみんながそうではない。
洋服は自分という個性を表現する大切なツールなので、
そこから人生を変えていきたいと自分も今でも思っています。

店という枠では、ものだけではなくて会話からお客さんたちの
人生のお手伝いが出来ると思っているので、
ただ店でものを売るとか買うとかではなくて、
それ以上のことを手に入れて帰ってらもらえるような店でありたいと
常日頃からスタッフとは話しています。

Q7.最後になりますが、来年で10年目を迎えるVarde77。
ファーストコレクションからいろんな思いがあったと思います。
デザイナー自身の目標、Varde77の未来への話を聞かせて下さい。

僕の目標はガウディー(建築家)のような長い未来を描けるような人物です。
10代ではじめて行った海外旅行もスペインでした。
ガウディーの作品をたくさん見て回りました。
だからVarde77という枠を超えて、
これからは自分やスタッフ、周りの人たちやお客さんが、
未来を想像して楽しくなるような行動を率先してとっていきたいと思っています。
大雑把に言いますが、カリフォルニアの街を日本に持ってきたいという夢も持っています。
あとは想像して下さい!笑


Varde77 デザイナー宮田 浩行